怖い睡眠時無呼吸、枕で苦闘しレーザーへ

事の始まりはカミさんのいびき指摘でした

「ねえ、いびきがうるさいよ!」

そう言われても自分ではそれほど気にならずにいたので、
「ふうん、誰の?」
「あんたに決まってるでしょ」

翌日、カミさんは私のAndroidスマホにアプリを入れました。
いびきを感知して録音するといういびきレコーダーです。
たいしたことないのに、と私は思いながら録音レベルをセットして
ベッドサイドにスマホを置いて寝ました。

すると翌朝スマホを開くと、一体どうしたことでしょう?
アプリは青地なんですが、いびきの音が白い線となりいくつも入っ
ています。その合計時間15分間。これは音のみの時間で息を吸っ
てる時間はカットされてます。
さらに黄色い棒が走っているところが何本もありました。この黄色
はアプリが呼吸が止まっていると判定した期間なのだそうです。

激しい眠気はSASかも(指摘はされてなくても日中の眠気が激しい場合は一度アプリを入
れて録音されてみるとよいと思います)

「どうだった?」
「これ、睡眠時無呼吸てやつだよ、俺を殺す気か」
「私が殺すはずないでしょ、あんたが勝手に死にそうだってこと」
「対策しないとな」
「うん、なんとかしてよ、サヤはまだ中学なんだからね」

それから睡眠時無呼吸症候群の対策を検索しまくりました。

一番手軽な対策は特殊な枕だが…

これはいろんな形がありますが、まず横臥寝に最適化されたものを
二個ほど試してみました。しかし、結局どうしても寝返りするので
姿勢を保てませんでした。
次に試したのがうつ伏せ寝用のドーナツ形の枕。もしかしたら慣れ
るかなと思ったのですが、かなり涎が出てしまって止めました。
しまいにはリュックを背負えば横臥寝を維持できるという説に乗っ
てみたのですが、腕の付け根にストラップが食い込むのが気になっ
てしまい止めました。

他にも顎を固定するヘッドギヤやテープも試しましたが断念。
お手軽になんとかできるとは思えなくなりました。
ちゃんと治療するしかないと決心して医師、病院のページを検索。

するとCPAPという頭部に装着し、空気を強制的に送り込む装置
を治療法としてる所が多いです。しかし、これって治るわけじゃな
くずっと毎晩装着しなければならないんです。たとえて言えば骨折
に対して骨折自体に触らず松葉杖を治療法としているようなもので、
根本解決には程遠いんですよね。

医師に本格治療を求める視点で検索すると

やはり手術ということになります。

1950年代よりいびきに対する咽頭腔拡張術が池松武之亮先生によっ
て始められ、それをもとに1981年東京大学の藤田史郎先生が睡眠時
無呼吸症に対して口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(Uvulopalatopharyngo
plasty:UPPP)を開発し世界中で行われるようになりました。UPPP
は扁桃腺をとり、上あごである軟口蓋粘膜とのどちんこ(口蓋垂)
の一部を切除して縫い合わせ、のどの空間を拡げる手術です。

パリのKamami先生が1990年にレーザーを用いて口蓋垂と軟口蓋粘膜
を切除するレーザー口蓋垂軟口蓋形成術(Laser assisted uvulo
palatoplasty: LAUP)を発表しました。LAUPは局所麻酔で行い入院
を必要としないことからUPPPに代わり広く行わるようになりました。
東京ロンフェルメ耳鼻いんこう科より引用

つまりレーザー手術なら日帰り治療が可能だということです。
保険も適用されるので負担は初診と合わせ4万円程度のようです。
ただ手術方法があるとしても適応条件はきちんと医学的に決められ
ているので、希望イコール手術とはなりません。

成功率については

肥満指数(BMI)が30前後の中等度睡眠時無呼吸症に対しては約40%
の治癒率(無呼吸指数が5以下)である
東京ロンフェルメ耳鼻いんこう科より引用

私は肥満指数が20ちょいなのでもっと治りやすいかもしれません。

手術の成功についてはこんな論文もありました。

OSAS患者において咽頭の手術が成功する因子基本
1.非肥満 理想を言えばBMI 25以下現実的にはBMI 30以下
2.口蓋扁桃肥大(+) 米国での口蓋扁桃肥大分類で3か4
成人の睡眠時無呼吸症候群と手術適応より引用

痩せていて、口の中は狭くなっていることのようですから自分は当た
りかなと思い、医師の診察を受けてみました。

睡眠時無呼吸のレーザー治療体験記

受診してみると、口腔はかなり狭い体質であり、花粉症のため鼻閉も
ひどいということで医師から選択肢を出されました。
私は思い切って咽喉の軟口蓋形成術と鼻の下鼻甲介粘膜焼灼術の両方
を受けることにしました。初診時は血液採取で帰され、その結果も合
わせないと手術適応とはなりません。

今回はレーザー軟口蓋形成術について書きます。

麻酔は局所麻酔で最初に腕に筋肉注射をします。
その後、口の中にゼリー状に凍らせた麻酔を舌の上に乗せて20分
くらい個室の待機室で待ちます。
診察室に入り理髪店みたいなリクライニング手術台に座りガーゼ
で目を覆われます。
さらに麻酔を喉の奥に何回か注射されます。
焼いた直後に舌が触れてしまうとゲッとなってしまうので、先生が声
をかけ呼吸のリズムを取ってくれて殆ど痛みはなかったです。
切除が終わると椅子が仰向けになり縫合されました。
もちろん自然に溶ける糸です。

思ったより痛みもなく時間も20分程度かと思います。

ただ難関は帰宅後なんですよ。
麻酔が切れると激しい痛みが襲うので座薬の強力痛み止めを貰ったの
ですが、普通の食事はまず無理です。
当夜の献立はゼリーやプリン。
娘が羨ましそうに見ますが、「これしか食べられなかったらどんなに
物足りないかがわかるぞ」と言ってやりました。

翌朝、カミさんは「昨日はほとんどいびきを聞かなかったよ、やっぱ
り手術はすごいね」と興奮してましたが、私は痛くてまともに答えら
れませんでした。
それから一週間は飽きるほど味の薄いうどんを食べて、ようやく痛み
も取れました。

痛みは手術のお土産と考え、それで睡眠時無呼吸のリスクを減らせる
なら医師に相談してみる価値はあるかもしれません。