アワウタは日本語の根幹

イザナギとイザナミ

出典: 絵は小林永濯 ホツマ文字は小笠原長弘写本

アワウタはなんとイザナギイザナミが元祖

アワウタ(アワ歌)は古事記に先行するホツマツタヱの最初の綾
(俗に言えば章)に書かれた、日本語の根幹をなす48文字の和歌
です。

イザナギとイザナミが授かった長女ワカ姫は厄年に「捨て子は育
つ」という言い伝えに従い三歳になる前に川に流され、申し合わせ
たカナサキ(住吉神)が拾い上げて大事に育てられます。
その成長記録の中でアワウタが紹介されます。

五年目の冬に、男の子は袴を着け、
女の子は衣被(キヌカヅキ)の儀式をする。正しい言葉を学ぶ
アワウタを常に教える。

アカハナマ  イキヒニミウク
フヌムエケ  ヘネメオコホノ
モトロソヨ  ヲテレセエツル
スユンチリ  シヰタラサヤワ

出典:朝倉未魁の超訳ホツマツタヱ 「東西」の名と穂虫去る綾 より引用

さらに 5番目の綾ではこのように

五・七の音で言葉の使い方を学ぶ
アワ歌を、上の二十四音を
イサナギ尊が、下の二十四音を
イサナミ尊が歌い連ねて
教えたので、歌によって正しい言葉が
身について、民の言葉も
通じるようになりました。

出典:朝倉未魁の超訳ホツマツタヱ ワカ歌の枕詞の綾 より引用

とアワウタ成立の事情が語られています。

つまりイザナギイザナミが歌ったアワウタは民の言葉を正し、子供
に言葉を学ばせるツールとして教えていた、という事なのです。

ここで形式は、5字の後に7字で
12文字組み合わせを2回続けた前半24文字がイザナギの歌
さらに残りの24文字がイザナミの歌ということで
全部で48文字になりますね。

この48字はイロハ歌とは違い一見して現代の日本語と通じる意味
はなさそうに見えます。

鮮やかな仕掛けにびっくり

ここでアワノウタを5字のかたまりで1行、7字のかたまりで1行
としてみましょう。(本来は縦書きにすべきなのですが、ウェブ
ページの都合上横書きにします)

アワウタ

さてここからが面白いところです。

ここで文字が何番目か数えながら順序良くホツマ文字ヲシテ文字を
ひとつずつ見ていくと何か気付きませんか?

何文字かで形が似てませんか?
そうなんです、五個ずつ文字の形が似ていますね。

では今度はこれを5字ずつで区切ってゆきましょう。

アワノウタ5字区切り

アワウタ前半

ここまで来て振り返ると、なんという事でしょう、縦の左端にア行
のあいうえおが完成しています。さらに隣にカ行、ハ行、ナ行、マ
行も完成しています。
現代日本人にも納得の仕掛けです。

すごいですよね。
ここまででこれは現代あいうえおの元なんだと感動します。

次の5文字は

トロソヨヲ

おかしくなりましたが、気を取り直してこの特徴を探すと全部オの
母音ですね。

じゃあ次はというと

テレセエツ

と来て、今度は4つまでがエの段ですから、テレセヱの4文字を残
して、最後の「ツ」は次の行に送ってしまいましょう。

すると次の行は

ツルスユン

とウ段が四つ、ンはとりあえずこのままで。

すると次の行は

チリシヰ

と全てイ段です

次の行は

タラサワヤ

と全てア段になりました。

ここで後半部もおしまいです。

アワウタ後半

残りを改めてみれば(名探偵コナン風に)、あれれ、逆の「おえう
いあ」の順できれいに並んでいるよ。
だから下から読めばタ行、ラ行、サ行、ヤ行、ワ行が出来てるって
事だね、すごいんじゃないの。

改めて全体を見渡すと

アワウタ48音を5文字区切り

空色の線を軸に母音対称形の並びです。

かくしてアワウタは母音の構造を意識して並べられた
見事な母音対称形になってますね。
明らかに高度な意図があるようです。

文字の形にも素晴らしい意図が

さらに文字の形に着目すると

アの段の文字は大きく口を開けた丸い形のグループ

イの段は、口中で舌を少し上げた形のグループ

ウは唇をすぼめて突き出す三角のグループ

エの段は舌を浮かせたのを横から見た形のグループ

オの段はアよりひとまわり小さく開ける四角のグループ

と見事に設計されているかのように見えます。

実は、この文字はヲシテ文字と言われて、それぞれに役割を持つ父
音部分と母音部分を組み合わせて1文字を構成しているのです。

子音をあらわす部分(父音、父相、相図象)と、母音をあらわす部
分(母音、母態、態図象)とを組み合わせた構成である。父と母か
らヲシテ文字という子供が生まれる訳である。基本は母音5(アイ
ウエオ)×子音10(アカハナマタラサヤワ)の48文字である(ワ行
は「ワ」「ン」「ヲ」3音韻の特殊行)。

出典: ヲシテ Wikipedia より引用

より具体的には
母音(段)では元素や形状から分類しており、ア段は気を表すウツ
ホ、イ段は風を表すカセ、ウ段は火を表すホ、エ段は水を表すミツ、
オ段は個体を表すハニ。
父音(行)では動きや変化から分類され、ア行がはじめ、カ行がつ
なぐ、ハ行がひらく、ナ行がなる、マ行がたす、タ行がかける、ラ
行がちらす、サ行がとめる、ヤ行がはねる、ワ行がおわるを表す。

父音の十行と母音の五段からなる二次元テーブルで、神羅万象を漏
れなく表そうという意図が見みえてきます。

アワウタ表意テーブル

図には漢字による表意の例が書き込んでありますが、実際にはこの
二次元テーブルを読む者の意識の高い低いにより実際の事象や現物
が違ってくる事もあり得ます。

 

ホツマツタヱは偽書ではない

ホツマツタヱの編纂は大物主を祀る大田田根子と伝えられています。
大物主は物部氏の始祖ですので、ホツマツタヱは物部氏の主張に沿
っている点はあります。しかし物部氏は崇神天皇に大物主を祀る事
を約束させた時点で必要以上に主張することは控えたように見えま
す。その点では誰からも祀られず歴史から姿を消したカタカムナと
は違いがあると思われます。

このホツマツタヱですが、偽書と言う人がいます。彼らの論点は
「昔の母音は8個あったから5母音はおかしい、イロハ確立後に書
かれたんだ」という難癖でした。
しかし今日では8母音体系は言語として存在しがたいというのが通
説だそうです。

『上代特珠仮名遣は一見、八つの異なった母音を書き分けているよ
うに映るけれど、それは日本人の発音の癖を中国人の耳で聞き取り、
正確に写したものにすぎない。万葉時代の母音の数は、現代と同じ
五つだ』と、喝破している

出典: 古代母音論争とは何だったのかー松本克己の大野晋批判 より引用

もしあなたが日本語にある音をうまく文字にして作ってみてくれと
頼まれて、このアワウタほど抽象度も高く美しく並べられますか?
私なら並べられないと思います。
たぶん私は並べ方からして後半も前半と同じアイウエオの順序で並
べてしまうでしょうね。

ホツマツタヱを記した者は数学の知識はなかったかもしれませんが、
雑情報で汚れた私たちよりずっと透き通ったバランスの取れた鋭い
感覚で物事を構成する仕組みを見事に表して見せたのです。

以前の記事で、古代の陰陽太極図が背景宇宙放射を見たとしか思え
ない事を書きましたが、アワノウタについても古代の人がダイレク
トに本質を見通す力があったのだと感じます。

アワウタを歌う、唱える効果

これを唱える効果についてもホツマツタヱに書かれています。

音や言葉で二十四音が沁み入り
四十八音で身に着いて、体内に
よく巡り、病気にならず
長生きする。

出典:朝倉未魁の超訳ホツマツタヱ 「東西」の名と穂虫去る綾 より引用

日本語の仕組みを極めたバランスが整ったアワウタですから、現代
人の歪んだ体調や精神を正常化してくれそうです。
病気にならず長生きするアワウタを唱えてみるとよさそうです。

最近は親しい間で一緒にいるのに互いに自分のスマホに向かって会
話をしないなんて事ありがちですよね。そんな時にアワウタを一緒
に唱えてみると電磁波と雑ネタで汚染された意識がきれいに洗浄さ
れるかもしれません。
是非、テーブルから見えるところに貼り出して目についたら唱える
ようにしてみて下さい。

ご精読ありがとうございました!