古代史浪漫カタカムナ人と饒速日命

國懸神宮

カタカムナ文字は最古の文字

楢崎皐月氏のカタカムナ発見は衝撃的なものであり尚かつ、考古学
の門外漢による発表だったことから、これを発見者が勝手に作り上
げたまがい物だと非難する人が複数いたようです。

しかし、デニス シュマント=ベッセラが1999年に著した「文字はこ
うして生まれた」の翻訳本を偶然手にして見て、これはと驚きまし
た。メソポタミアの楔形文字より古い時代、取引の記録のためなの
か「トークン」と呼ばれる粘土製の遺物が多数出土していたのです。
しかし従来の範疇に属さない出土品のためあまり重要視されて来な
かったと書かれています。

そのトークンの膨大なパターンの中に、〇に線を書き入れたものや、
円弧状のものがあり、これはそのものズバリというわけではありま
せんが、かなりカタカムナに似てるなと思いました。

日本から遥か離れた中近東の文字もない状況で何かを記録しようと
した時、カタカムナ文字に似た図形になってしまった。これはカタ
カムナが後代の創作でない傍証かもしれません。

楢崎皐月氏は英書出版時にすでに亡くなってたので、このトークン
を真似してカタカムナ文を創作した可能性はありません。
このことからもカタカムナ文字が最古の文字である可能性はありそ
うです。具体的な年代は全く見当もつきませんが、紀元前に遡るこ
とも十分あり得ます。
その時、カタカムナ文化は縄文文化と共存して地味に栄えていたの
にちがいありません。

カタカムナ人と饒速日命(ニギハヤヒ)

さて和歌山市に不思議な神社があります。
日前神宮・國懸神宮(ひのくまじんぐう・くにかかすじんぐう)と
いってひとつの境内にふたつの社殿があり、それぞれ日像鏡(ひが
たのかがみ)、日矛鏡(ひぼこのかがみ)を御神体として祀ってい
ます。しかし祭神の日前大神、國懸大神は他の記録に登場せず。な
のに伊勢神宮と同じく格式の序列から外す別格の社とされているの
です。

しかもこの和歌山市という土地は伊勢神宮、及び別宮伊雜宮からほ
ぼ西にあたり、さらに楢崎皐月氏が平十字氏からカタカムナを見せ
られた六甲山系金鳥山のほぼ南にあたります。

神社の格付けは大和朝廷にとって地方支配の重要な手段でもあった
筈ですから、そこに伊勢神宮と同格の神社があるというのはよほど
崇敬すべき何か、懐柔すべき何か、あるいはその双方に値する勢力
が祀られているのだと容易に推察できます。

あの地域にあって伊勢神宮と同列に扱うしかない勢力とは神武東征
の時、既に畿内を治めていた饒速日命(ニギハヤヒ)ではないかと
思われます。
饒速日命は天照大神から大和建国の神勅を得て自ら『布都御魂劔』
と日の御子の証である『天羽々矢』を携え天磐船で高天原を出発、
宇佐を経由して畿内に到達。当地の豪族鳥見一族は饒速日命の徳と
文化の高さに敬服、饒速日命は戦わずして畿内を獲得したのです。

そこへ今度は神武が侵入していきなり戦闘をしかけてきました。
平十字氏も「(カタカムナの伝承者)アシアトウアンは天皇家の祖
先が侵入してきた時に一族で戦い、敗れて九州の地に流されて亡く
なった」と語ってます。

饒速日命にしたら同じ天照大神から命令を受けて平和に治めていた
土地に、神武が武力で侵入してきたのですから戦闘は避けられない
事態でした。
初戦で神武の長兄彦五瀬命が鳥見一族の長髄彦(ながすねのひこ)
に敗れて負傷し神武は南に逃れます。彦五瀬命は和歌山で亡くなり
神武が後を継ぐと、紀伊半島を大きく迂回して今度は東から長髄彦
の精鋭に挑みました。すると敵も天照大神の旗を掲げているとわか
り証拠の神器を見せ合い確認をしました。
こうなると神武の方でも天照の同族を武力で殺すわけにはいかなく
なったものの、和解の宴で騙して捕らえ自分たちの拠点である九州
の日向に護送して飼い殺しにしたというのが消された歴史の真相で
はないでしょうか。

勝者の編纂した日本書紀では鳥見一族の長髄彦が徹底抗戦し、神武
に恭順を示していた饒速日命はやむなく長髄彦を誅殺したと書き換
えられてしまうわけです。
しかし、真相の隠蔽に無理があると思った『先代旧事本紀』では、
既に饒速日命は神武に従わぬまま現地で亡くなってたと記します。
両記録に現れた矛盾が逆に饒速日命追放の証拠になってるかと。

では饒速日命がカタカムナ人なのか?

その可能性がないわけではありません。
饒速日命の天磐船に対応する磐座(いわくら)というワードが宇佐
神宮の奥宮大元神社にあり、河内の上陸地点らしい大阪府交野市に
も巨石を御神体とするズバリ磐船神社があり、カタカムナの聖地、
金鳥山の保久良神社にも磐座があります。
このように磐座を軸にして饒速日命とカタカムナが繋がっているよ
うにも思えます。

とすると饒速日命一族の生き残りが私的に鎮魂したのが保久良神社
ということかもしれません。平十字氏の一族は神武系の残党狩りを
惧れて決して饒速日命という家系を口に出さずに保久良神社を守っ
ているのかもしれません。

ただ私にはカタカムナ=饒速日命というより、饒速日命が天磐船で
生駒山に進出した時、その河内にいて徳と文化の高さを認めて恭順
した豪族、鳥見一族こそ、よりカタカムナ人らしく思えます。
彼らには稲作や製鉄の技術がないものの、狩りや漁がうまく、生活
用具や住居づくりに優れるという縄文人の優秀さを見せていたから
です。
さらに脛が長いため戦闘も巧みという際立った特徴もカタカムナ人
の民族性から来ているのかもしれません。
戦闘が得意であっても饒速日命と話し合うとすぐに彼の徳の高さと
弥生文化の価値を認めて地域の統治を譲るというのは我欲よりも直
感を重視するカタカムナ人だからこそ出来たのではと思えるのです。

 

ふたつの御神体の謎

そこで引っかかるのが日前神宮・國懸神宮のふたつの御神体です。
普通に考えたら饒速日命を祀るためだとしても御神体はひとつで
済みそうなのになぜふたつなのでしょうか?

日前神宮・國懸神宮のホームページで由緒を見てみます

神代、天照大御神が天の岩窟に御隠れになられた際、思兼命(おも
いかねのみこと)の議(はかりごと)に従い種種の供物を供え、天
照大御神の御心を慰め和んで頂くため、石凝姥命(いしこりどめの
みこと)を治工とし、天香山(あめのかぐやま)から採取した銅を
用いて天照大御神の御鏡(みかがみ)を鋳造しました。

その初度に鋳造された天照大御神の御鏡前霊(さきみたま)が、日前
國懸両神宮の御神体として奉祀されたと『日本書紀』に記されてお
ります。

天孫降臨の際、三種の神器とともに両神宮の御神体も副えられ、神
武天皇東征の後、紀伊國造家の肇祖に当たる天道根命(あめのみち
ねのみこと)を紀伊國造(きいのくにのみやつこ)に任命し、二つ
の神鏡を以て紀伊國名草郡毛見郷の地に奉祀せられたのが当宮の起
源とされています。
日前神宮・國懸神宮 神宮概略 より引用

 

いよいよ謎が解けてきました。
天孫降臨の時は一緒に持ってたけど、東征の後は神社の御神体とし
て分けたということにしてます。その神社の場所も伊勢神宮から見
て有利に戦えた西です。
自分が追い払った饒速日命の霊験ありそうな神器など一緒に持って
いたくないのと、その鎮魂が目的なのです。

で、ふたつの謎ですが、饒速日命を調べてゆくとその理由が見つ
けられます。

十種神宝(とくさのかんだから)というものがあり、これは饒速日
命が天降りする際に、天神御祖(あまつかみみおや)から授けられ
たのです。

十種神宝の内容は以下の通りである。

沖津鏡(おきつかがみ)
辺津鏡(へつかがみ)
八握剣(やつかのつるぎ)
生玉(いくたま)
死返玉(まかるかへしのたま)
足玉(たるたま)
道返玉(ちかへしのたま)
蛇比礼(おろちのひれ)…大国主の神話に出てくる比礼との関係が注目される。
蜂比礼(はちのひれ)…大国主の神話に出てくる比礼との関係が注目される。
品物之比礼(くさぐさのもののひれ)

十種神宝 Wikipedia より引用

ここに二つの鏡が載せられてますね。

いろいろな神宝の中で鏡が最も威力があると考えられていた、そこ
で饒速日命が持っていた神宝の中で鏡二つを特別に御神体とする事
になったが、二つ鏡の御神体では収まりが悪い。そこで日前神宮・
國懸神宮とふたつの社殿を設けることにした。
さて祭神をどうするかとなった時、当地で亡くなった彦五瀬命を監
視役として祀ればよいと案が出て、彦五瀬命を日前大神とする一方、
饒速日命を國懸大神として二神を鎮魂したというのが最も説得力が
あるのではと思われます。
最初は日が共通する饒速日命を日前大神とも考えましたが、國懸の
懸には隔てるという意味があります。意図を忖度すればニニハヤギ
よ、お前の国はこここから隔てられた所だ、私の国に出て祟るなと
いう警告なのだと考えられて、こちらが正解っぽい。

尚、末社に中言神社があり、こちらにも神武を負かした豪族名草姫
と名草彦が祀られています。

日前神宮・國懸神宮は古くから縁結びに御利益があったようですが、
敵と味方が仲良く祀られているのなら当然かもしれませんね。

気になったサイト

六甲山と瀬織津姫さん 43 ホツマツタエ
日前神宮・國懸神宮はカタカムナ系人とホツマ系人が融合したとの
説を紹介されてます。これも興味深い。

いにしえの都さん

国懸神宮の向かって左前の木が、妙にフサフサと毛が生えているよ
うに見えるので、~中略~ これはまさに、スネ毛である。

ドキッ、忠義に篤いカタカムナ人の長髄彦が今も饒速日命を守って
いるんでしょうか。

カタカムナによる瞑想については現在、カタカムナ文字の書き込み
に使える螺旋図を作成してますのでお楽しみに!

ご精読ありがとうございました。