潜在意識は恐ろしいことに自分を知らない

今回は潜在意識が自分を知らないというお話をしようと思いますが、
その前に【脳に主語はない】という話を聞いたのでちょっと確かめ
てみたいと思います。

 

脳の三層構造

脳には三層の構造があることが知られていますが、主語がないのはど
の部分についてなのか考えてみましょう。


一番外側で包む形の部分が大脳新皮質です。ここで物事を知覚したり、
経験を記憶したり、考えたり判断したり、行動したりと、個人が高度
な精神活動を行うところです。人間脳と類別してる場合もありますね。
ここは意識と無意識の仕組みを図で解説しますで紹介した【意識】に
あたりますね。
ここで様々な状況を判断して、何をすべきかを考えたり、やりたいこ
とをしたり、理不尽な事に怒ったり、傷ついて悲しんだりします。こ
こはあなたが主役の劇場みたいです。つまり主語はあります。

ひとつ内側でに広がるのが大脳辺縁系です。食欲、睡眠欲等の本能的
欲求や生理的な快不快や怒り、驚き等、感情や情動的反応の中枢です。
旧哺乳類脳と類別してる場合もあります。
無意識という場合は本能を含みつつさらに大きな概念と思われます。
ここは意識と無意識の仕組みを図で解説しますで紹介した仏教でいう
眼耳鼻舌身の五識に関係しそうですね。
ここだと主語を意識する前の段階なので主語はないですが、主語がな
いという主張は他人の悪口を言うと自分の気分が落ち込むという文脈
で言われているのでこの部分とはズレるように思います。

脳の一番内側にある視床下部は脊椎に通じる神経を束ねており大脳辺
縁系で生じた欲求や情動に基づいて交感神経や副交感神経を制御して
います。爬虫類脳と類別してる場合もあります。
ここは神経反応とか興奮ですから主語はないでしょうが、文意とは違
う気がします。

他人の悪口を言うと自分の気分が落ち込むというのは真実であるよう
に思いますが、脳の大雑把な構造からは説明しづらいと思われます。

主語がないのは潜在意識の機能

主語がないのは脳の機能というより、潜在意識の機能と捉えた方がわ
かりやすいと思います。
当然の事ながら表面意識はしっかりした私の所有する意識、あるいは
私に属する意識という点は皆さん納得されると思います。

ところが潜在意識となると、自分にもつかみどころがない漠然とした
意識という感想になります。

さらに、往々にして自分から見ても行き過ぎた態度の元凶のように思
えたり、全く自分と正反対な頑固な主張の犯人みたいな気がします。
そこでは私の潜在意識はすごいと自分に結び付ける例は少なく、潜在
意識は自分と違う不道徳で常識外れの奴と否定的に捉える方が多いの
ではないでしょうか?
そして潜在意識がいい方向で作用してる場合はそれは自分の意識の手
柄と認識されるのです。

(かなり難しい仮定ですが)仮に潜在意識の側から見たら、貴方の意
識の累積的な蓄積記録から予測される発言、行動を弾き出して自動的
におすすめの言葉を示し、行動を起こしてくれてるわけです。
いわばAIでデータ分析をし自動運転までしてくれる最先端マシンが
潜在意識なのです。

普通のデータ分析はその感情や行動の主体が誰かという項目がまず先
頭にあるものなのですが、なぜか潜在意識のデータ分析には誰の感情
なのか、誰の行動なのかという主体の項目がないのです。
膨大なデータを無限に積み上げるというのが潜在意識の設計方針なの
で一瞬にすぎない主体名なんて邪魔だと削られたのかもしれません。
しかもこの潜在意識は他人ともどこかのレベルで共有される設計なの
です。そこから集合的無意識が創られているのです。

そうです、これが潜在意識に主語がない、潜在意識に自分がない理由
なのだと思われます。
潜在意識は自分を持ちませんから、あなたが誰かを陥れたり、恨んだ
り、恐れたりすれば、自分を陥れたり、自分を恨んだり、自分を恐れ
たりしたいのかと潜在意識は自動的に活動してしまうのです。
そうするとあなたの周囲にますます嫌な状況が頻発するという負のス
パイラルが続くのです。

悪口を言う代わりに肯定しよう

並みのスポーツ選手だと敵と競り合う時には相手がミスするように期
待してしまうのではないでしょうか。
しかし、潜在意識の方ではそれは誰に対してもミスするように期待す
るのがこの主人のお気に入りなんだと規則化されてしまうのです。
すると相手ではなく自分がミスしてしまうという悲劇になります。

そこへいくとタイガー・ウッズのような一流選手はライバルとの競り
合いの中でも相手のボールが入るように応援するのです。
そうすることで自分の潜在意識が常に良い作用をしてくれて最高のパ
フォーマンスを発揮できるのです。
もしかしたらタイガー・ウッズもアマチュアの最初の頃は相手にミス
しろと願った頃があったのかもしれません。しかし経験を重ねるうち
に相手の健闘を期待した方が自分の成績が上がることを学んだのでは
ないでしょうか?

潜在意識に自分はないことを自覚し、常に誰に対してもポジティブな
態度でいることを目指すと、どんどんあなたは自分が良い方向に引き
寄せられるのを感じるでしょう。